1. 概 要
押出成形セメント板 (Extruded Cement Panel.略称 : ECP)
は、主として中高層の鉄骨建築物における外壁および間仕切壁に用いる材料で、セメント・けい酸質原料および繊維質原料を主原料として、中空を有する板状に押出成形しオートクレーブ養生したパネルです。
2. 規格および仕様
押出成形セメント板の日本工業企画は、2003年(JIS A 5441:
2003)が制定され、その後(JIS A5441:
2023)に改正されました。→押出成形セメント板の日本工業企画は、2003年(JIS
A 5441: 2003)が制定され、その後2023年(JIS A5441:
2023)に改正されました。
表面形状による種類 |
形状例 |
厚さ |
働き幅 |
長さ |
フラットパネル
(表面を平滑にしたパネル)
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60
75
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450,500,600
900,1000,1200
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5000
以下
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50
100
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450,500,600 |
デザインパネル
(表面にリブ及びリブに類する凹凸を施したパネル)
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50
60
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600
900
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エンボスパネル
(表面にエンボスを施したパネル)
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60 |
600
900
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タイルベースフラットパネル
(表面を平滑としたタイル接着剤張り用パネル)
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60
75
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1210以下 |
タイルベースパネル
(表面にタイル張り付け用あり蟻溝形状を施したパネル)
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60
75
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910以下 |
(2)外壁標準工法
外壁に使用する場合は、Zクリップと呼ぶ取り付け金物を用いて取り付けを行ないます。この工法は、建物の変位追従性に優れた完全乾式工法です。押出成形セメント板の使い方により、縦張工法と横張工法があります。
縦張工法
(公共建築工事標準仕様書 外壁パネル工法A種)
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横張工法
(公共建設工事標準仕様書 外壁パネル工法B種)
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押出成形セメント板を縦使いし、建物の変位に対し、ロッキングにより追従させる工法です。
押出成形セメント板は、各段ごとに構造体に固定した下地鋼材で受け、四隅のZのクリップで取り付けます。
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押出成形セメント板を横使いし、建物の変位に対し、スライドにより追従させる工法です。
押出成形セメント板は、積み上げ3枚以下ごとに下地鋼材に固定した重量受け金物で受け、四隅のZのクリップで取り付けます。
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3. 特 長
(1)力学的性能、耐久性能、耐火性能、耐震性能に優れています。
(2)タイル・塗装・素地など、自由に仕上げを選ぶことができます。
(3)乾式工法のため、施工性に優れています。
(4)工場でのプレカットにより、現場内での廃材の発生を少なくします。
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4. 主な記載文献
(1)国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」(建築工事編)、同「建築工事監理指針」
(2)日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説」(JASS 27
乾式外壁工事)
(3)日本建築学会「非構造部材の耐震設計施工指針・同解説および耐震設計施工要領」
5. 施工例
(1)フラットパネル採用例
( Photo:車田 保 )
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建物名:村瀬新聞店稲永店
設 計:裕建計画
所在地:名古屋市港区
施 工:矢野建設
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建物名:ダイヘン中部支社
設 計:竹中工務店
所在地:名古屋市千種区
施 工:竹中工務店
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(2)デザインパネル採用例
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